感想:とまどい本能寺の変

とまどい本能寺の変:石井三四二

総合:★★(太閤殿下の魅力度:★ 話の面白さ:

8話の短編構成で、本能寺の変によって運命を変えられた人々の話を短編でまとめています。秀吉は直接登場しないのですが、周りの人が秀吉をどう見ていたのかを読みたいという変化球な目的で読みました。

1話目:南の山に雲が起これば~安国寺恵瓊の話

2話目:最後の忠臣~織田信孝の話

3話目:久々よ、怒れる武神、勝家を鎮めよ~堀久太郎秀政の話

4話目:関東か小なすびか~滝川一益の話

5話目:本能寺の変に黒幕はいたか(作者による本能寺の考察)

6話目:カタリナ・おかつの受難~キリスト教信者の娘の話

7話目:北方城の悲惨な戦い~安藤道足と稲葉一徹の話

8話目:信長を送る~おなべ(信長の側室)の話

秀吉目当てという点では、6話~8話は一ミリも秀吉に関わる話は出てこないので私はちょっと退屈でした。特に6話目と8話目は。戦国ものは女性視点の話、個人的に好きではないことに気付きました。

読んでいて特に楽しかったのは最初の3話。

1話目は安国寺恵瓊を中心に、本能寺の変を知った毛利勢が秀吉を追うか、それとも和議を守るかを決断していく過程が書かれています。敵側の視点で、当時の情勢や秀吉について分析して議論している話で、緊迫感もあって読んでいて面白かったです。

2話目は織田信孝の視点で、切腹までのいきさつが書かれています。私の信孝像の解釈が作者と一致していました。私の中で信孝って中途半端に才能があった故に、自分の力を過信してしまった人というイメージがあるんですよね。(信孝好きの方、すみません)その信孝が天下人になれると勘違いした故に滅んでいく様が滑稽で憐れで、好きです。この2話目のタイトルが最高に皮肉が聞いていて、この話はオチがとても良い!

3話目は堀久太郎の視点から本能寺の変から賤ヶ岳の戦までを描いたもので、秀吉の直接の出番がある唯一の話かも。戦略を立てる秀吉様がかっこいいです!ただ、堀久太郎が勝家贔屓な感じがして嫌です(笑)

5話目は作者の考察で小説ではないのですが、私は作者に賛成です!昨今、本能寺の変前の光秀の行動がおかしいから実は、黒幕がいたという説が増えている中(この光秀みたいな有能な人はそんなおかしい行動とるはずがないという説、本当に嫌い。有能っていうけど、そもそも有能だったら黒幕に騙されないだろう。黒幕がいるという説こそ光秀の無能さの証明なのではないかと思ったり。。)、この作者の考えは好きです!ずばり、光秀は認知症だった!いやぁ~。、全然、可能性としてはあると思います。年齢的は結構、上だったという説が有力ですよね。大河ドラマ麒麟がなんちゃら)では信長や秀吉と同じくらいな歳あつかいされてますけど。

まぁ、たらたら書きましたが、雑にまとめると色々な人の視点で書かれた本能寺の変が起きたその後の話、当時の混乱をよく表していて読んでいて面白かったです。

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